鹿島灘はまぐり(チョウセンハマグリ)
鹿島灘はまぐり(和名:チョウセンハマグリ)は、水深5~10mの砂地に生息しており、海水中の植物プランクトンを餌としています。稚貝の時期、貝殻に頂紋【ちょうもん】とよばれる2本線が見られるのが特徴です。天然の海では、ふ化から約3年で3cmになります。
「鹿島灘はまぐり」とは、鹿島灘が全国有数の産地であることから名付けられたブランド名です。
生産の流れ
採卵
採卵は7~8月頃に行います。親貝には、産卵期に漁獲された天然貝を用います。親貝の雄と雌を一緒に水槽へ入れ、100個体程度並べます。放精・産卵を誘発するために海水を温めたり、水槽の海水を抜いて干上がらせるなどして刺激を与えます。 親貝がいつでも放精・産卵できる状態になっていれば、わずかな刺激でも精子と卵を放出します。水槽内に放出された精子と卵は海水内で受精します。受精後は幼生飼育水槽へ収容します。 |
ふ化・幼生期
受精から約1日でふ化し、浮遊幼生(初期:トロコフォア幼生、中後期:ベリジャー幼生)になります。この時期は海水中を漂うように泳ぎ、植物プランクトンを食べて成長します。大きさが0.2mmをこえると、親貝とほぼ同じ姿になり、海底での移動につかう「斧足【おのあし】」が生えてきます。さらに0.23mmまで成長すると、繊毛【せんもう】を切り離して沈着稚貝【ちんちゃくちがい】となり、着底生活を始めるようになります。着底した稚貝は、回収して稚貝飼育水槽へ移します。 左の写真は、ふ化直前の受精卵を水面から見たものですが、白い帯状に見えるのが大量の受精卵です。 |
餌料培養
幼生や稚貝が食べる植物プランクトンのイソクリシスなどを大量に培養します。栄養分と光を与えることで急速に増殖します。 |
稚貝期
飼育水槽の中には、約2cmの厚さで砂をしいて飼育します。幼生期と同様、餌は植物プランクトンを与えますが、食べる量は数倍に増えます。 左の写真で、水槽の中に白く見えるものがすべて鹿島灘はまぐりの稚貝です。 |
選別
1ヶ月半ほど飼育した稚貝は、砂つぶとは違う「白いつぶつぶ」として見えるようになってきます。さらにもう半月ほどすると、同じ飼育水槽の中であっても稚貝ごとに成長の差が出てきます。そのまま飼育すると、大きい稚貝ばかりが良く成長し、小さい稚貝の成長がさらに悪くなってしまいます。 そこで大小の選別を行い、稚貝の大きさをそろえ、飼育するのに最適な個体数にしてから再び飼育します。 |
引き渡し・放流
2mm程度まで育った稚貝は、茨城県水産試験場へ引き渡され、調査海域に放流されます。放流された稚貝は、生き残りや移動などについての追跡調査が行われ、放流に適した場所を決めるための重要なデータとなります。 |