ヒラメ

ヒラメ

ヒラメは、千島列島から九州、南シナ海付近まで分布しています。水深200m以浅の海底に生息していて、砂の中に潜ったり、背景に合わせて体色を変化させたりして、目だけをギョロつかせ、魚や甲殻類などの獲物をまっています。

天然の海では、ふ化から1年で20~30cm、2年で約40cm、3年で約50cmになります。

なお、茨城県では漁業者自らが、30cm未満のヒラメを「獲らない、売らない、食べない」と決め、遊漁者の協力も得て、ヒラメの資源保護に努めています。

生産の流れ

親魚養成

ヒラメ 親魚養成良い卵を取るために立派な親魚に育てます。親魚は、放流魚の遺伝的なことも考え、天然魚から育てるほか、毎年新しい天然魚を加えています。

冬から春にかけては、徐々に水温を上げたり、照明時間を長くするなどして、水槽内で自然に産卵を促進します。

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採卵・ふ化

ヒラメ 採卵・ふ化採卵は4~6月頃に行います。採卵は、自然産卵した受精卵をネットで受けることで行います。集めた受精卵は、適正な密度で稚魚飼育水槽に収容します。受精卵は2~3日でふ化します。

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餌料培養

ヒラメ 餌料培養稚魚が食べる動物プランクトンのシオミズツボワムシや、その餌となる植物プランクトンのナンノクロロプシスを大量に培養します。また、動物プランクトンのアルテミアは、購入した卵をふ化させて稚魚の餌にします。

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種苗生産

ヒラメ 種苗生産ヒラメの稚魚を5cmの大きさまで育てます。飼育中は、餌や水質、照明などに気を配ります。餌はふ化後3~4日頃からシオミズツボワムシを与え、その後は成長に合わせてアルテミアの幼生、配合飼料を与えます。

飼育中、生まれた日が同じであっても成長が異なり大きい稚魚や小さい稚魚が現れます。これは遺伝的な原因や飼育環境によるものですが、そのまま飼育すると大きい稚魚が小さい稚魚にかみついたり、とも食いしたりします。そこで一度、取りあげて大小の選別を行い、稚魚の大きさを揃えてから再び飼育します。

ふ化後40~45日で3cm、60~65日で5cmになります。

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中間育成

ヒラメ 中間育成放流後の生き残りを良くするために、さらに10cmまで大きく育てます。ふ化後90~100日で10cmになります。

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放流

ヒラメ 放流10cmになった稚魚を放流します。飼育水槽から稚魚を取りあげ、カゴに入れてからトラックの輸送水槽につみ込み、県内各地の港まで輸送します。港では漁業者と協力し、稚魚をトラックから漁船につみ替えます。漁船で放流場所まで行き、漁業者が船上から放流します。

栽培漁業センターで育ったヒラメの稚魚は、餌や飼育環境等の影響により、体の裏側の白い部分にも黒色や茶色に着色する体色異常が見られます。この着色は放流後に成長しても残るため、これが標識となり、放流魚と天然魚が識別できます。これを利用し、産地市場では漁獲されたヒラメの混獲状況を調べています。

このように、放流魚は体の裏側の体色異常が特徴ですが、生態や食べたときの「味」、「肉質」などは天然魚と違いがないことがわかっています。しかし、市場では天然魚よりも安く取り引きされており、栽培漁業センターでは、体色異常をなくしたり、制御できるような技術開発も行っています。

ふ化

ヒラメ ふ化

ヒラメの卵(右上)は約0.9mmの大きさで、ふ化直後(左下)は2.5~3.0mmの大きさです。

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シオミズツボワムシ

ヒラメ 餌料培養 シオミズツボワムシ

約0.2~0.3mmの大きさで、ヒラメの最初の餌となります。

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アルテミア

ヒラメ 餌料培養 アルテミア

約0.5~0.8mmの大きさで、シオミズツボワムシの次の餌となります。

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ヒラメ 種苗生産 取り上げ

ヒラメ 種苗生産 取り上げ

水槽の排水口に取り付けたネットの中に稚魚を集めます。それをタモ網ですくい、計量してから選別ネットに収容します。

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ヒラメ 種苗生産 大小選別

ヒラメ 種苗生産 大小選別

選別ネットの目合いより小さい稚魚はネットから抜け出し、大きい稚魚はそのままネット内に残ります。
残った大きい稚魚は、再び計量して別の水槽に収容します。

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ヒラメ 放流 カゴ詰め

ヒラメ 放流 カゴ詰め

ヒラメは着底する魚なので、カゴに入れて重ねることで底面積が増え、輸送尾数を増やすことができます。

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ヒラメ 放流 体色異常

ヒラメ 放流 体色異常

正常のヒラメは体の裏側全体が白いのですが、写真の体色異常のヒラメには数ヶ所の黒い着色(体の表側と同じ色)が見られます。

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